用語集
用語集
バイオアッセイ法(Bioassay)
バイオアッセイ(Bioassay)とは、生物材料を用いて生物学的な応答を分析するための方法のこと。
単語はバイオ(生物)とアッセイ(分析、評価)を組み合わせて作られた。
日本語では生物検定や生物学的(毒性)試験と訳す。
バイオアッセイには、生体に対する影響を調べることに重点が置かれるマクロバイオアッセイと化学物質の濃度定量に資するマイクロバイオアッセイがある。
バイオマーカー(Biomarker)
特定の病気の際に体内で生成されるタンパク質や,化学物質を投与した場合に特異的に生成するタンパク質等のことで、尿や血液の中に含まれる量を分析する事で病気の診断や化学物質の影響を評価する指標として使われる。腫瘍マーカーや血糖値、コレステロール値もバイオマーカの一種である。
バイオモニタリング(Biomonitoring)
ヒトの血液、尿、生体組織中の化学物質の濃度を常時・連続的に観察・測定すること。分析技術の進歩により、10億万分の1レベルの濃度でも検出できるようになった。バイオモニタリング結果とヒト健康影響との関係をどのように理解するべきかが議論されている。
ハザード(Hazard)
ヒトの健康や野生生物に悪影響を引き起こすような危険性又は有害性のこと。(リスクとは異なる)
パーシャルライフサイクル試験
化学物質の魚類の繁殖への影響を評価する試験法の一つ。スクリーニング試験として位置付けられている。化学物質をメダカに受精卵から成熟期を通して約70 日間曝露することにより、主に性分化への影響を把握する試験であり、孵化、孵化後の生存、成長、二次性徴、生殖腺組織、ビテロゲニン産生等を評価項目とする。
暴露(曝露/Exposure)
ヒトや野生生物などが、化学物質等を体内に摂取(取り込む)すること。その経路には、食品や水などを介する経口的なもの、呼吸によるもの、経皮(皮膚からの取り込み)によるものなどがある。
暴露評価
ヒトや野生生物などが、化学物質をどのくらいの量を摂取(取り込みまたは接触)しているかを定量的に推定評価すること。
ビスフェノールA (Bisphenol A/BPA)
フェノールとアセトンから合成される化学物質。BPAともいう。ポリカーボネートやエポキシ樹脂の主原料である。その他の化学品の原料やプラスチックの添加剤としても少量使用されている。
ビテロゲニン (Vitellogenin)
魚類、鳥類、両生類などの卵生動物のメスの肝臓中でつくられる卵黄の前駆体蛋白質の一種である。通常、オスはビテロゲニンを生産しない。卵生動物のオスのメス化などの傾向を知る指標(バイオマーカー)として用いられる。
病理学的変化
目視や顕微鏡で観察される生体組織の変化のこと。例えば、見て判断できる胃粘膜の荒れや炎症、損傷などや腎臓の鬱血(うっけつ)や細胞の壊死(えし)など。
腹腔内投与
毒性試験において、試験物質を腹腔に注射して与える方法をいう。腹腔内投与は、経口投与と異なり消化器官による吸収を経ないで腸管膜血管から吸収されるので、経口投与よりも作用が早い。
物質安全データシート(MSDS/Material Safety Data Sheet)
化学品の安全な取り扱いを確保するために、その物質名、供給者名、法規制分類、危険有害性、安全対策、緊急事態の対策などに関する詳細な情報を含む資料。
従来MSDS(Material Safety Data Sheet)と呼ばれていたが、物質のみの運用でなく安全情報一般について適用させるために、SDS(Safety Data Sheet)に名称を変更した。 (⇒安全データシート/ (SDS))
フルライフサイクル試験
化学物質の魚類の繁殖への影響を評価する試験法の一つ。最終的な判断をするための確定試験と位置付けられている。 化学物質をメダカに少なくとも2世代(約180 日間)にわたり曝露することにより、発達、成熟、繁殖期を含む全生涯を通しての影響を把握する試験であり、孵化、孵化後の生存、成長、二次性徴、生殖腺組織、ビテロゲニン産生、産卵数、受精率等を評価項目とする。
変異原(へんいげん、mutagen)
生物の遺伝情報(DNAあるいは染色体)に変化をひき起こす作用を有する物質または物理的作用(放射線など)をいう。GHSの定義では、「変異原性物質(Mutagen)とは、細胞の集団または生物体に突然変異を発生する頻度を増大させる物質」であり、「突然変異(Mutation)とは、細胞内の遺伝物質の量または構造における恒久的な変化」である。
変異原としての性質あるいは作用の強さを変異原性(へんいげんせい、mutagenicity)もしくは遺伝子毒性(いでんしどくせい)と呼ぶ。
ポジティブリスト(PL/Positive List)
用途毎に使用が認められた材料、添加剤などの物質のリストのこと。例えば、ポリオレフィン等衛生協議会が定める食品容器包装に使用できる材料、添加剤のリストがある。
ポジティブコントロール(Positive Control)
化学物質の毒性を調べるための動物実験において、その化学物質を与えることと並行して、確実に影響のあることが分かっている他の化学物質を与えて影響がでることを確認することをいい、陽性対照ともいう。ポジティブコントロールは、生物を用いる動物実験そのものに誤差が多いことから、得られた結果の有効性を確認するために採用される。さらに、使用する実験動物の数を増やしてより正確なデータを得ることも重要である。⇒ネガティブコントロール / (Negative Control)
対照実験において既に陽性結果が出ることがわかっている対象、あるいはその実験。
ポリカーボネート樹脂 (PC樹脂:Polycarbonate Resin)
ビスフェノールA(BPA)を原料とする樹脂(プラスチック)。照明カバー等の家庭用品、波板等の建材、メーターハウジング等の電気・電子機器、ヘッドランプカバー等の自動車部品、コンパクトディスク(CD/DVD)等の幅広い分野で使用されている。
ホルモン(Hormone)
生物の体内の器官(下垂体、甲状腺、副腎、精巣、卵巣など)でつくられる(内因性)化学物質のこと。血液によって様々な器官に送られ、細胞にあるホルモン受容体と結合して器官のはたらきを調整する。卵巣などでつくられる女性ホルモン(エストロゲン)、精巣などでつくられる男性ホルモン(アンドロゲン)などの性ホルモンの他に、副腎、甲状腺などでつくられる各種ホルモンが数十種、確認されている。