ポリカーボネートとビスフェノールA
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環境ホルモンについて
- 「環境ホルモン」という言葉のはじまり
- 「環境ホルモン」という言葉は、「環境中の化学物質が、あたかも人の体の中でつくられるホルモンのような作用をする」ことをわかりやすく表現するために、「環境」と「ホルモン」を単純につなぎあわせてつくられた言葉です。最近では、「内分泌かく乱化学物質」や「外因性内分泌かく乱化学物質」、英語の「Endocrine Disrupters」など難しい用語のかわりに使われるようになりました。
1997年に、コルボーンさんらが「奪われし未来」の中で、野生動物の異常のいくつかは、ホルモンに似た作用をもつ化学物質が原因ではないかと推定しました。その後の研究発表や新聞などで「環境ホルモン」の言葉がよく使われますが、何が環境ホルモン物質であるかはまだはっきりしていません。 - 環境ホルモンってなあに?
- 環境ホルモンには、はっきりした定義はありません。
一般的には、「体の中でつくられるホルモンのように作用する環境中の化学物質」が、環境ホルモンと考えられています。また、環境ホルモンとよばれる物質の多くは、女性ホルモンに似た作用をすることがわかっています。
環境省は、「内分泌かく乱作用を有すると疑われる化学物質」として調査すべき65種類の化学物質とカドミウム、鉛、水銀の3種類の金属をあげています。化学物質としては、PCB、有機スズ、ダイオキシンなど毒性や蓄積性がある物質や、弱い女性ホルモン様作用があるため調査対象とされてる物質があげられます。 - ホルモンに似たものにはどんなものがあるの?
- 私たちのまわりには数十万種の化学物質があるといわれています。
その中で、ホルモンに似た作用があるとわかっている化学物質には、工業的につくりだされた化学物質から、人や動物が体の中でつくりだす化学物質、植物がつくりだす化学物質まで、実にいろいろなものがあります。
ホルモンに似たものいろいろ- 工業用化学物質
- 殺虫剤、除草剤などの農薬
- 医薬品
- 植物に含まれる成分
- ホルモンに似たものいろいろ − 工業用化学物質
- 工業用化学物質は、性質や状態、用途など実に多種多様なものがあります。
これらの化学物質の多くは、プラスチック、可塑剤、洗剤、染料、薬品などの工業用原料としてだけでなく、私たちの日常生活にもなくてはならないものです。
ビスフェノールA(BPA)も有用な工業用化学物質の1つです。
一方、野生生物に悪影響することがわかり規制されている物質として、電気絶縁用のPCBと船底用の塗料である有機スズ(トリブチルスズなど)があります。 - ホルモンに似たものいろいろ − 殺虫剤、除草剤、農薬など
- その他、殺虫剤や除草剤など農薬の44種類です。現在、農薬として使用が認められているものは19種類です。残りの25種類の農薬は、今では使われていません。
日本で使用が禁止されているDDTなどの農薬は、低価格で効果が大きいので、一部の発展途上国では現在も使用されています。 - ホルモンに似たものいろいろ − 医薬品
- ホルモンとして作用する医薬品の例としては、流産防止薬のジエチルスチルベストロール(DES)や経口避妊薬(ピル)などがあります。
DESは、生まれた子供への悪影響が認められたため、すでに使用が禁止されています。
河川の環境調査では、人の体の中でつくられ、尿と一緒に出された女性ホルモンが検出されており、魚などに影響を与える物質として疑われています。医薬品としてのピルも尿と一緒に体の外に排出され、河川に流れ込む可能性があります。 - ホルモンに似たものいろいろ − 植物に含まれる成分
- 大豆や黒豆などマメ科の植物に女性ホルモンに似た作用をする成分(植物エストロゲン)が含まれています。
植物中エストロゲンが影響した例には、オーストラリアで大量のクローバを食べた羊の繁殖が減ったという例があります。
人への影響についての詳しい科学的研究は始まったばかりですが、人類の長い歴史の中で、人は植物に含まれるこれらの成分に 適応 できるようになったともいわれています。
ベジタリアン(菜食主義者)の女性から生まれた子供に異常が見つかった、との報告がありますが、普通に食べている量であれば、食品中に含まれる成分が影響を与える心配はない、といわれています。
大豆などの植物エストロゲンは、一定量であれば骨粗しょう症やボケ防止に効果があるともいわれていますので、バランスの取れた食事が大事かと思われます。 - 環境ホルモン問題をどう考える?
- 多くの化学物質によって私たちの暮らしは豊かになりました。しかし、「ある化学物質が人の健康や野生生物へ影響しているのではないか」との視点に立って、「環境ホルモンをどう考えるか?」を地球規模の課題として、国際的な協力のもとでの科学的な調査や試験と、共通 の対策をとることが必要です。
「環境ホルモンの疑いがあるから危なそうだ」と単に注意をうながすだけでなく、科学的な調査や試験でえられた結果 から、「正しいリスク評価」を行ない、適切な対策(リスクマネージメント)を行うことが重要です。
これからは、「科学的な考えと行動」が一人ひとりに求められるのではないでしょうか。
リスク評価とは、リスク(さけたい影響)が「起こる確率」と「影響の大きさ」をもとに、ベネフィット(利点)を考えることです。リスクマネージメントとは、リスク評価に基づいて「どのようにすべきか」の対策を決めることです。
安全も危険もリスクも、「絶対はありません」。安全も危険もゼロ%と100%の間にあります。